明るい不登校

「明るい不登校」とは

不登校になった初めのころは部屋にこもったり、親とほとんど口をきかなかったS君。ところが、不登校から一ヶ月もたつと、テレビのお笑い番組をみて笑ったり親子で雑談もできるほどに落ちついてきた。気分のムラもあまりなく、学校に行っていないことを除けばいたって普通。そんな「明るい不登校」が意外と多いのです。

不登校が生み出す「不協和音」

子どもが不登校になると親子関係ギクシャクしたり、担任の先生の家庭訪問を嫌がったりします。それでも不登校初期のころは親も教師も必死になって「どうしたんだ」「何で学校に行かないんだ」と問いただし、なんとか早期再登校に向けて努力します。しかし、当の不登校の本人は理由を答えないだけでなく、学校の話がでるたびに顔色が険しくなったり物にあたったり、かたく口を閉ざしてしまうなど態度が急変します。もちろん、担任の先生が訪問しても何となくそわそわして会話が続かなくなったり、会うのを嫌がるようになったりします。やがて、お互いに気をつかったり、言いたいことをガマンするように・・・。ところが、少し対応をゆるめると明るさが戻ってきて雑談には応じるようになってくるのです。初めのころと比べると、ずいぶんと落ちついているし、話もしやすくなってきた。学校の話をだすとまたイヤな雰囲気になるだろうな・・・。不登校でも、家の中では明るい方がマシ。こうして明るい不登校は生まれるのです。

「見守りましょう」に要注意!

不登校が「登校拒否」と呼ばれていたころ、自分の子どもが不登校になったら大問題でした。世間体は悪いし、「不登校は怠け病」と考える人もいたりと、親も子も焦りと罪悪感でいっぱいでした。「不登校=腫れ物」だったのです。ところが、その数の急増とともに、不登校に対する社会の認識は一変しました。「無理じいはいけません」「本人の自立を待ちましょう」「様子を見守りましょう」といった意識が親や教師はもとより、専門家の間にさえ浸透してきたのです。おまけに昨今の高認(大検)ブームが「学校だけが全てではない」「高校を卒業しなくても大学も受験できるし、高卒と同じ程度の資格がもらえる」という再登校以外の選択肢をもたらしました。もちろん、このような対応や高認制度が悪いわけではありません。「不登校になる」「再登校しない」にはそれなりのわけ(=不登校の理由・原因)があるわけです。なのに「学校の話題をさけたがる」。重要な部分が不明確なまま放置することで、かえって不登校の長期化をまねいてしまうおそれがあるわけです。

意外とやっかいな「明るさ」

「学校に行かないのなら、せめて家の中では明るくしてほしい」、そう願う親御さんも多いでしょう。しかし、ここに大きな問題点がひそんでいます。人間には喜怒哀楽という感情があり、何かでつまずいたり、思い通りにいかない時には「怒」や「哀」の感情が高まってきます。もちろん不登校も例外ではありません。淀屋橋心理療法センターのカウンセリングでも、うまくいくほどに、怒(不満・批判)、哀(不安・迷い)などが、子どもさんの口からどんどん飛び出すようになります。これは、いかなる感情でも自由に話せる環境(気軽な親子関係)ができてきたからなんです。「明るさ尊重主義」は、これらの感情にフタをしてしまう可能性があるのです。「○○が嫌い」→「そんなこと言わないで」、「○○が気になる」→「気にしないで、大丈夫よ」。このようにフタをすることで、感情がますます制約されていくわけです。

 

 

アドバイス編

子どもさんへ:不安に向き合える力を

大事なことは一番気になっていることを棚上げにせず、じっくりと悩むことです。根気がつづかなければ、親や教師の力を借りることも必要です(※親や教師が良い対応をマスターしておく必要があります)。相手を聞き役にして、頭に浮かんでくる感情をどんどん話すわけです。「○○に腹がたつ」「○○がイヤ」「○○が気になる」「○○ができないんじゃないか」といった本音を吐き出すだけで感情の度合いがゆるんでくることもあります。また、何日にもわたってトコトン吐き出しているうち、「よし、こうしよう」という解決策が浮かんだり、「まあ仕方がないや」というひらきなおり精神がついてくることもあります。

親御さんへ:経験不足の子どもへ積極的な援助を

いくら明るくても不登校は不登校。これを人生の危機(ピンチ)としてとらえる必要があります。親と比べると子どもは何事にも経験不足です。危機を脱するにはどうしても親の力が必要になります。不安なことから逃げたい気持ちを親の力で向き合える力に。会話の進め方ひとつでも大きく変わってきます(※もちろん会話のすすめ方にはコツがあります)。なにも叱咤激励や突き放すという厳しい対応や、様子を見たり自立を待つのが良いとは限りません。仕事に忙しいお父さんも休みの日には子どもの好きなことを一緒にやってやったり、日ごろのお母さんの労をねぎらったりと役割分担しながら協力し合うことでさらに効果が上がります。

先生方へ:日ごろの情報交換と再登校時のサポートを

親御さんは学校とのパイプがつながっているだけでも一定の安心感をおぼえます。また、家族だけで孤立して取り組むより学校の先生が気にかけてくれることで我が子の不登校に向き合う上で何かと心づよいのです。日ごろからクラスの情報を流していただいたり、電話や家庭訪問でいろいろと話をしていただくことで、「再登校」への意識の風化を防いでくれるのです。再登校の話が出てきたときも同様です。日ごろからのパイプがつながっていると、例えば小学生の子の場合、「校門まで先生に迎えにきてほしい」「クラスメートに○○と言っておいてほしい」など、再登校の段どりについての協力をお願いしやすくなるのです。

学校の先生(担任教師)からみた「明るい不登校」チェックリスト

淀屋橋心理療法センター(https://www.yodoyabashift.com/)
所長 福田俊一
担当 小川和夫(不登校・非行専門外来カウンセラー)

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