冬休み直前の放課後登校・別室登校の不登校の子。どこまで頑張らせれば良いか

引用

完全不登校だった子がようやく「別室登校(保健室登校・会議室登校・カウンセリングルーム登校)」や放課後登校をするようになりました。しかし、もうすぐ二学期終業式(冬休み)

終業式・冬休みに入るまでに少しでも登校できる時間を増やすのか、それとも、終業式までにはなんとか教室登校できるように説得したり働きかけるのか。親や担任教師もとても悩むところでしょう。不登校のカウンセリングでも、学期の終わり間際にはこのようなご相談が多くなります。

これは不登校の子の学年や、放課後・別室登校をはじめてからの日数、それまでに出会っているクラスメートの人数などによって、大きく変わってきます。小学生、特に低学年の場合は、クラスメート(友達)とたくさん会えて気軽に話せたり遊べる段階までこぎつけているならば、終業式前・冬休みに入るまでにできる限り登校時間を増やしたり、教室登校できるように働きかけた方が得策の場合もあります。うまくいけば冬休みもその流れで友達と遊ぶことによって新学期の登校がスムーズにいく場合もあります。ただし、クラスメートとの関係が気軽なところまでに至っていなかったり、授業に出たとたんに緊張したり、ストレスを感じることが予想される場合は慎重に判断しなければなりません。不登校のカウンセリングでは、周囲(親・教師)が焦ったり、期待しすぎてかえって後退してしまう子の事例が後を絶ちません。不登校カウンセリングでは、そのあたりの駆け引きはとても慎重に考えます。

また、小学校高学年や中学生・高校生の不登校の場合は、別室登校や放課後登校をしていても、小学校低学年の子以上の配慮が必要です。いっそうデリケートな考え方をする時期・年頃(思春期)になりますので、別室に来てくれた子とニコやかに話しているからといって「なじんできている・楽しんでいる」とは限らないのです。思春期に入ると「気遣い」や「社交辞令」という意識も生まれてくるからです。

また、新学期(三学期)のスタート(始業式)は親も教師も不登校の子も「二学期の終わりにここまで頑張れたんだから」という意味で、新学期のスタートは二学期の終わり方以上の登校パターンを期待すると同時に、不登校の子自身は「二学期より頑張らなくっちゃ」と、「義務感」を感じてしまいます。これは、不登校専門外来を設け、たくさんの不登校の子のパターンを観てきたカウンセラーだからこそわかることかもしれません。

二学期に別室登校や放課後登校ができるようになったならば、冬休みのブランクを考慮し、三学期の好スタートを期待するだけでなく、「冬休みで二週間ほどブランクが空いたから、二学期の終わりのままの登校状況から新学期をスタートするのは難しいかも」という考え方も大事なのです。そこはしっかりと専門のカウンセラーと相談しながら段取りをつけられることをお勧めします。

 

淀屋橋心理療法センター

所長 福田俊一(心療内科医・精神科医・神経科医)

担当 小川和夫(不登校専門外来カウンセラー)

 
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不登校の原則 その1

「見守る」「見守りましょう」の落とし穴

「新学期」という再登校のきっかけを逃してしまい、不登校から脱出できなかった子。新学期早々から不登校になってしまった子。とりわけ、これまで不登校は他人事のような感じだった親御さんにとっては新学期早々のつまずきは相当なショックでしょう。あわてて色んなサイトを調べたり、公的機関に相談の電話をかけたりと、色々と動き回られたことでしょう。

そういった状況にも関わらず淀屋橋心理療法センターに不登校の相談の電話が集中するのは毎年のように5月の半ばから後半なのです。事前相談(無料相談)に来所された親御さんにその理由を尋ねると「不登校の子に無理強いはダメ」「再登校する気になるまで、子どもの自主性に任せない」「様子を見守ってあげれば自分から登校するようになるわよ」「不登校の心の傷が癒えるまで休ませてあげなさい」等、いわゆる「見守りましょう」路線を色んな人に勧められたり、サイトや本に書いてあったそうなのです。

「見守る」=「何もしない」という理由で、一見、安全策のようにも見えます。しかし「早期」に「不登校状態から脱出させてやりたい」と望む親にとってはどうでしょうか。当の不登校状態の本人も「早く再登校したい・不登校の理由をわかってもらいたい」と考えているかもしれません。そういった意味で、私どものカウンセリングでは「見守り対応」は「NG」です。一部の例外はありますが、不登校状態が長引くほどに余計に再登校しにくくなる上に、対応する親の方も疲れてしまいます。

 

不登校の原則 その2

不登校が長びくことで強くなる「不安」

最初はどんな理由やきっかけであれ、不登校状態が長期化してくると、不登校の理由が変わってしまうことがあります。たとえば不登校のきっかけが「○○君たちから仲間はずれにされた」や「授業中に恥をかいた」という理由だったとします。でも、不登校が長期化してくると「みんな自分のことをどんな風に思ってるんだろう」「ずっと休んでるから変な病気だと思われていないかなー」「登校したらみんなからイヤなことを言われるんじゃないか」と、気になることが変わったり広がったりするのです。

当センターの所長は「人間のいきづまり」と「機械の故障」の違いをよく例に挙げます。機械は故障するとそのまま止まってしまいますが、故障の原因さえつきとめれば解決します。でも人間は違います。動きが止まった(不登校)としても、毎日もがき、悩みつづけているのです。特に「いじめ不登校」だとその苦しさはいっそう強いのです。もちろん、いじめられて不登校になった子もいじめた張本人も、どちらも「人間」です。単にいじめた子を注意したり、「もういじめない」という約束をとりつけるだけでは解決しないのです。

 

不登校の原則 その3

「息継ぎ」はできていますか?

毎日がいっぱいいっぱいで、不登校ギリギリの悩みを抱えている子でも、一日登校できると週末まで続けて登校できる場合があります。これは「いきおい」の助けもあります。ただし、勢いだけで登校している子は週末、特に日曜日に注意が必要です。連休をはさむことでせっかくの勢いが衰えてしまい、「楽な休日・楽な家」と「しんどい学校」の違いをいっそう強く感じて不登校になる子も多いのです。また、4月をなんとか乗り切ったと思ったらGW(ゴールデンウイーク)が待っています。年によって違いますが、連休が長いほど不登校に要注意。また、4月に溜め込んだストレスも上乗せされます。このように連休あけをきっかけに不登校になってします子の多くは、普段からストレスを吐き出す「息継ぎ」が上手にできない子なのです。逆に、毎日毎日、帰るや否やうるさいほどグチる子の方が息継ぎが上手だと言えます。意外とグチグチ言っている割には不登校の心配が少ないのです。

 

不登校の原則 その4

「気まずさ」と「気軽さ」

不登校はまだまだ「難病・奇病」のように扱われる傾向にあります。「下手にさわってこじらせたら大変」「学校の話題は避けた方が・・」など、まるで不登校の子が「腫れ物」のような扱いをうけることがあります。当の本人も休み始めはイライラしたり部屋にこもったりと、人を寄せつけない雰囲気を作り出してしまいます。しかし、家族が遠慮して声かけをひかえたり、担任も下手に刺激しないために家庭訪問をひかえるといった方法は、本人との「気まずさ」を助長するだけで、解決の見通しはなかなか開けてきません。休んでいても家族とは気軽に会話をかわし、学校の情報も頻繁に入ってくるという状況が早期解決には欠かせないのです。

 

不登校の原則 その5

休み始めたらすぐ動く!

 

親御さん(親の対応)

日ごろから「息継ぎ」が大事だということは説明しました。この息継ぎの中身はたいていがその日の出来事に対する「グチ」か、翌日の事が気になってでてくる「不安」です。この二つがしっかり話せることが何より大切です。ただし、一般的にはグチは「なだめる」、不安は「なぐさめる」という対応が取られますが、それでは不登校に至った子は満足できません。「自分の辛さをわかってもらえない」と感じてかえって口が重たくなることもあります。意外とガンコなのです。もちろん、グチや不安をだれかれ構わず話されては困ります。でも相手が「親」限定なら許されます。外でニコニコ、家でグチグチは「あり」なのです。担任の先生と連携できればさらに効果的です。電話や訪問で得た「情報」を、子どもさんと共有して下さい。そして、その情報から感じることを存分にしゃべらせてやり、しっかりと聴いてやって下さい。それだけで登校につながることがあります。

担任の先生(教師の役割)

不登校の子がまず気になるのは勉強面よりもクラスの動向、つまり「人間模様」です。自分の不登校は噂になっているのか、気になるあの子はどんな様子なのか、休み時間はどんなムードか、今はどんなグループに分かれているのか、みんな順調に登校しているのか、自分の席の周りには誰が座っているのか・・。こんな情報が電話やメールを通じて入ってくれば、学校は休んでいるもののクラスのイメージが浮かびやすく、あたかも登校しているかのような気分を味わえます。こうすることで、再登校時に自分がどんな振る舞いをしたら良いかといった、段取りや心づもりがつけやすくなります。さらに、この情報を家庭訪問で流していただければ、先生に対する親近感・安心感も増します。本人が会いしぶる場合は親と話すだけで十分です。回を重ねることで近づいてきたり、親を通じて質問をしてくることも期待できます。情報量と訪問(電話・メール)の頻度は多いほど効果的です。

 

淀屋橋心理療法センター
所長 福田俊一
小川和夫(不登校・非行専門外来カウンセラー)